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みいクリニック 院長;日本医療政策機構 理事

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2017年 ご講演者

多摩大学大学院
教授;
医療・介護ソリューション研究所
所長
真野 俊樹

医療経済研究機構       
所長; 
厚生労働省・社会保障審議会 
会長 
西村 周三

国家公務員共済組合連合会
横須賀共済病院 院長
長堀 薫

社会福祉法人聖隷福祉事業団  
聖隷三方原病院
執行役員 事務局長
山本 功二

医療法人沖縄徳洲会
湘南鎌倉総合病院 人事室
兼 経営企画室 室長 (事務次長)  
芦原 教之

みいクリニック 院長;
日本医療政策機構 理事
宮田俊男

地域包括ケア病棟協会 会長;
医療法人社団和楽仁 芳珠記念病院
理事長
仲井 培雄

社会福祉法人恩賜財団大阪府
済生会吹田医療福祉センター
総長;
済生会吹田病院 院長
黒川 正夫

神奈川県立足柄上病院 病院長
牧田 浩行

日本赤十字社 足利赤十字病院
院長
小松本 悟

順天堂大学医学部附属
順天堂医院 院長
天野 篤

埼玉医科大学国際医療センター 
病院長
小山 勇

社会医療法人財団董仙会
恵寿総合病院 理事長
神野正博

社会医療法人
ジャパンメディカルアライアンス
海老名総合病院 院長
服部 智任

医療法人徳洲会
岸和田徳洲会病院 事務部長
浦山 聡

鹿児島大学付属病院      
医療情報部長
熊本 一朗

現場と行政をつなぐハブとしての「みいクリニック」の経営を通じて、新しい医療の形のモデルを示せれば 

マーカスエバンズ  坂井智華 chikas@marcusevanskl.com


マーカスエバンズ  坂井智華

chikas@marcusevanskl.com



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これまでの経歴と現在取り組んでいること

もともとは外科医で、その後、厚生労働省に転職。今も日本政策医療機構というシンクタンクで理事をしており、基本的にずっと医療政策の仕事をやってきました。
地域包括ケアシステムの推進や、医療機関の機能分化・集約化という大きな流れの中で「現場と行政をつなぐハブ」として、昨年みいクリニックを開院。さらに、患者さんの情報リテラシーをあげていくという意味で「メディカルコンパス」というベンチャー企業を立ち上げました。今、財政・超高齢化・人口減少など様々な問題がある中で、現場をもつことで、さらに医療政策への転換を促していければと思っています。
また、大学のほうでも、アカデミアと医療機関と企業を結びつけていく活動をしています。今後さらに「患者中心の医療」にシフトしていく中で、色んな新しいプロジェクトがはじまっていけるようにスタートアップを推進しています。

海外と日本の医療の違いと、日本が改革しなければいけない点

厚生労働省の医系技官として勤めていた際、アメリカやシンガポールの病院へ実際に視察にいき、感じたことがあります。
日本は医療法人が非営利の形態をとっており、国民皆保険制度もある中で、かなり公平なシステムを築いてきています。一方で海外の病院は、経営マインドが強く、かなりの競争があります。その結果、病院も患者さんにとってホスピタリティが高く、安心できる環境が整備されていて、かつ世界最先端の医療が受けられるようになっています。
日本の場合は、患者さんが並ぶ時間も長く、医療への不信感も根強い。病院の成績が不透明で、かつ多くの公立病院が赤字になっている。そういう意味では経営も脆弱であるいえます。
外国の医療制度や病院のあり方を、日本が全面的に真似することは文化の違いもありできません。ただグローバルな流れでみていくと、日本の病院経営は非常に遅れているといわざるを得ません。
例えば欧米では、大学院でHospital Administrationを学んで修士号を得ることができるなど、病院経営のスペシャリストが育っています。日本では、医療法人のトップは原則医師ですが、規制改革が進み、本当にそれでいいのかという議論もある。そのあたりを改革していくのが急務だと思います。それは単に、医師をビジネスのわかる文系にするということではなく、医師がトップにたつのであれば、病院経営や成績・プロセスの透明化をはかっていくことが、今の新しい時代においては必須かと思います。

さらに、例えばスタンフォード大学だと、関連クリニックが多くあり、そこから患者さんを集めてくることができます。また、医師がクリニックと大学を兼業していたりするので、クリニックに来た患者さんに大学病院のスペースを借りて医療をするようなフレキシブルなことも認められています。
日本はクリニックも家族経営でやっているところが多く「地域包括ケアシステム」を推進するといっても、実際のところ有機的な連携は進んでいません。一方で、国は医療法を改正して「地域医療連携推進法人」という新しい枠組みをつくって、異なる医療法人でも経営の法人を一体化させていく試みがはじまっていますが、まだまだ動きがアクティブではないのが現状です。その点に関して、私自身が「みいクリニック」の経営を通じて、新しい形をつくり「見える化」していくことにより、こういうふうにやっていけばいいんだ、というようなモデルを示していくことができればと思っています。

未来に向かって進めていきたいこと

今、「医師の働き方」が激震期にあると思っています。
かつて、放射線画像や病理の診断は医師が1つ1つ確認をして診断をつけていっていたものですが、人工知能やロボットなどがでてきて、昨今どんどん新しいテクノロジーに置き換わっていっています。
また従来、医学部の偏差値も非常に高く、最近では国公立の医学部は東大の医学部以外の学部よりも難しく、私立の医学部も授業料を下げることによって偏差値が高くなっています。しかし、記憶重視の医学教育が本当に必要なのか、今一度問いかける必要があると思います。
それこそ、今後さらに内科の診断技術もAIなどに置き換わっていき、医師と患者さんがスマホをもって、患者さん自身が症状を入力し、こういう治療が適しているのではということを医師に提案してしていくこともあり得ると思います。
そうなってきたときに「医師がやるべきこと」は何なのか。
グローバルでは、日本では医師がやっていることを看護師や薬剤師ができたりします。例えば、ルーチンな薬は薬剤師が処方したり、外科医の研修医がやるような処置は看護師がやるようなところもあります。
そういった多職種連携が進んでいく中で、最も人件費が高い医師がやるべきことは、今後形が変わってくると思います。
次の世代の「医師の働き方」を根本的に見直していくべきだと思っていて、そういったことを今後関係者で議論していけるといいなと思っています。

今後、医療とICTとの連携はどう進んでいくか

昨今「地域包括ケアシステム」が進む中で、医療に対して色んなプレイヤーが連携するようになってきています。
在宅医療が進むにつれ家で過ごせる人が増えてくると、ベッドの数や入院ターンも是正され、ストレートに病院の経営にもはねてきます。それを効率的にまわしていくには、多職種で連携しICTを用いて情報共有をしていくことが必要です。
在宅医療にしても、ひとりひとりの家にいくには手間がかかるので、IoTを活用してセンサーで遠くから患者さんの状態をモニタリングする遠隔医療が推進されるなど、様々なテクノロジーの導入が考えられます。
また薬局も、飲みきれない量の薬を処方している現状や、ポリファーマシーの問題もあります。それもデータベースに溜め込むことによって適正な医療にしていくことができると思います。今後、診療報酬も今のように薬をだせばだすほど利益がでる仕組みではなく、むしろ薬の数や種類を適正化することによってインセンティブが得られるようにシフトしていくのではと思います。
ITの導入は医療機関、薬局、介護事業者ににとって手間のかかる面倒なことですが、積極的に取り組んでいくことが重要です。自分自身が前はエンジニアだったこともあり、新しいテクノロジーを導入していくことによって、医療も効率化していくことができると考えています。

Hospital Management Japan Summitでは、日本の病院経営が大きな転換期にきていること、政策面も含めて今後どういう風に変わっていくのかということを、危機感をもって話したいと思います。また、そのためのソリューションはICT等も含めて何があるのかなど、ご聴講者の皆様に考えていただく材料として提供していきたいと思っています。

宮田俊男 先生

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Hospital Management Japan Summit

2017年9月13-14日(水・木)に行われる Hospital Management Japan Summit にて、閉会講演を行っていただく、みいクリニック院長の宮田俊男先生。

エンジニア、外科医、厚生労働省の医系技官など、医師としては異色のキャリアを築き、昨年、渋谷区にみいクリニックを開院、さらにメディカルコンパスというベンチャー企業のCEOでもあります。

幅広い活動に精力的に取り組む宮田先生に、今後の日本の医療界の中で「改革」が急務である点、またご自身が未来に向かって取り組んでいきたいことについてお話を伺いました。

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